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展覧会開館15周年記念
越前和紙の魅力 小杉放菴と岩野平三郎

ex-119 越前和紙の魅力 小杉放菴と岩野平三郎

2012年9月29日[土]~11月18日[日]

休館日=毎週月曜日(祝日のときは開館し、その翌日を休館)
開館時間=午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)

 「麻紙の放庵か、放アンの麻紙か」と自ら述べたように、日本画家としての小杉放菴は「放菴紙」と称された岩野平三郎による「越前麻紙」に対し、非常に強い愛着を抱いていました。まさに、小杉放菴は「放菴紙」と出会うことによって、現在、最もよく知られている日本画の独自のスタイルを確立できたといえるでしょう。

 福井県の岡本村(のちの今立町、現在の越前市)の紙漉職人の家に生まれた初代・岩野平三郎が、1921(大正10)年頃、冨田溪仙と知り合ったことを契機に、その紹介を受けた竹内栖鳳や横山大観ら、東京や京都の中心的な画家たちが越前の和紙を画用紙として使い始めることになりました。冨田溪仙や横山大観と親しかった小杉放菴も、おそらく、その頃から、越前の和紙に関心を向けていたのでしょうが、金潜紙などに対しては批判的な見解も示しています。

 しかし、大正末年に、岩野平三郎が内藤湖南からの依頼によって、麻の繊維で漉く中国伝来の「麻紙」の復元を成し遂げると、翌年に、小杉放菴も「試筆」を行ない、さらに、4年後の1929(昭和4)年には、「此度の麻紙は完璧と存候」とまで絶賛することになりました。

 岩野平三郎が漉いた「雲肌麻紙」は、強靱さと肌理の細かさを合わせ持ち、それ以前の時代にはないほどに絵具の厚塗りができるようになったことで、日本画の技法に、新たな表現の可能性を切り開いたと評価されています。しかし、小杉放菴が「放菴紙」の上に展開したのは、同時代の他の作家たちと比べても、淡く繊細な色彩で、かすれを意識した渇筆による描写でした。このことは、小杉放菴の画家としての矜恃を示すとともに、画家の技法に応じて両極端ともいえる性質の紙を漉き分けた、岩野平三郎の製紙技術が卓抜したものであったことの証明にもなるのではないでしょうか。

 この展覧会では、岩野家に所蔵されている小杉放菴の作品と、岩野平三郎に宛てた書簡などを合わせて展示することで、両者の「紙」に対する真剣な思いを改めて確認し、広く越前和紙そのものの魅力に迫ることができればと考えています。

詳細情報
会場 小杉放菴記念日光美術館 展示室
主催 財団法人 小杉放菴記念日光美術館/日光市/日光市教育委員会/下野新聞社
協力 株式会社 岩野平三郎製紙所
料金 一般700(630)円、大学生500(450)円、高校生以下は無料
※( )内は20名以上の団体割引料金
広報 「越前和紙の魅力 小杉放菴と岩野平三郎」展チラシ.pdf
「越前和紙の魅力 小杉放菴と岩野平三郎」展出品目録.pdf
お問い合わせ 小杉放菴記念日光美術館
〒321-1431 日光市山内2388-3
telephone:0288-50-1200