1. ホーム
  2. 展覧会・催し物
  3. 2011年度
  4. ex-114 ジョルジュ・ビゴーと日光

展覧会来⽇130周年
宇都宮美術館コレクションによる
ジョルジュ・ビゴーと日光

ex-114 ジョルジュ・ビゴーと日光

2011年12月10日[土]~2012年1月29日[日]

休館日=毎週月曜日(祝日・振替休日のときは開館し、その翌日を休館)
    年末休館12月26日~12月31日
    年始休館1月4日~6日
開館時間=午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)

 フランス人画家ジョルジュ・フェルディナン・ビゴー(Georges Ferdinand Bigot,1860~1927)の名は、日本人にとってたいへん馴染みある画家として記憶されています。たとえば、歴史的事件を記録した諷刺画家として。

 日清戦争直前における極東の緊張関係を諷刺した《漁夫の利》は、今では歴史の教科書に必ずといってよいほど使用される有名な諷刺画として、私たちに強いイメージを与えています。しかし、彼が17年間にわたって日本で生活した画家であったことや、なぜこうした諷刺画を描いたのかということについては、どれだけ知られているでしょうか。

 1882(明治15)年、ビゴーは日本絵画を研究することを目的に来日しました。そして横浜や東京を転々とし、陸軍省の学校で図学を教え、中江兆民の仏学塾でフランス語教師を勤めるなどしながら、諷刺画集や諷刺雑誌の刊行を始めます。なかでも雑誌『トバエ』は、《漁夫の利》《社交界に出入りする紳士淑女》などの諷刺画を収める、ビゴーの代表的な刊行物であり、この雑誌のなかで彼は、深く愛し、またときには憎むことすらあった明治の日本人の姿を、おそらく当時のどんな画家よりも素直に描きだしています。そのことで非難を受けることも少なくなかった彼の諷刺画の数々は、現代の日本漫画史のなかでは高く評価されており、また明治の風俗を知るうえでも、たいへん貴重な史料となっています。

 一方でビゴーは、フランスやイギリスへ日本社会の情勢や文化を伝える、一人のジャーナリストでもありました。岐阜県の濃尾大地震、福島県の磐梯山大噴火、岩手県の三陸大津波など、明治期におきた大災害、そして日清戦争の戦場へと、危険をかえりみずに現場を訪れ、的確なデッサン力に基づくスケッチで、災害に苦しむ被災者の姿や、戦地の兵士たちの姿を克明に記録しています。これらのスケッチをもとにビゴーは、報道用の絵画として仕上げ、フランスの『ル・モンド・イリュストレ』紙や、イギリスの『ザ・グラフィック』紙へ送っていました。このほかにも、ビゴーは東京や横浜に生きる人々の生活や、鉄道が開通する直前の日光街道の風景、宇都宮の軍事演習の様子など、様々なものを取材しています。

 1981(昭和56)年、ビゴーの研究者によって、こうした遺品やスケッチ類を含む肉筆作品の数々が、ビゴーの子孫のもとから発見され、その後日本で公開される機会を得ました。この発見によって、長く謎のベールに包まれていたビゴーの足跡が徐々に明らかとなります。1997(平成9)年に開館した宇都宮美術館は開館準備段階で、この作品群のほとんどを収蔵する機会に恵まれ、世界一のビゴー・コレクションを有する美術館となりました。

 本展覧会では、宇都宮美術館のビゴー・コレクションの中から選りすぐった作品を展示し、画家でありジャーナリストでもあったビゴーの眼を、皆さんに体感していただきたいと思います。

詳細情報
会場 小杉放菴記念日光美術館 展示室
主催 財団法人 小杉放菴記念日光美術館/日光市/日光市教育委員会/下野新聞社
料金 一般700(630)円、大学生500(450)円、高校生以下は無料
※( )内は20名以上の団体割引料金
関連イベント 記念講演会
「ビゴーを本当に知っていますか?」
講師=山口順子 氏(メディア史研究者)
日時=2012年1月14日[土] 午前2時より
広報 「宇都宮美術館コレクションによるジョルジュ・ビゴーと日光」展チラシ.pdf
「宇都宮美術館コレクションによるジョルジュ・ビゴーと日光」展出品目録.pdf
お問い合わせ 小杉放菴記念日光美術館
〒321-1431 日光市山内2388-3
telephone:0288-50-1200