2012年7月21日[土]~9月9日[日]
休館日=毎週月曜日
開館時間=午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
中村直人(1905~1981)は、第二次世界大戦後のパリにおいて、第二次世界大戦後のパリにおいて、 揉み紙にグワッシュで描いた特異な 絵画作品により絶大な人気を博し、1964(昭和39)年に日本へ帰国後は、二科会を中心に活躍した画家としてよく知られています。しかし、渡仏以前の直人が、 新進気鋭の彫刻家として注目されていた存在であったことについては、現在、どれだけ知られているでしょうか。
長野県小県郡神川村(現在の上田市)に生まれた中村直人は、木彫家・吉田白嶺に師事したのち、農民美術運動にも関わりながら、昭和初期の再興院展において、辻晉堂などと並ぶ新世代の彫刻家として活躍します。1937(昭和12)年に日中戦争が勃発すると、彫刻家としては初めての従軍作家として中国へ向かい、日本美術院の研究所で小杉放菴からデッサンを学んだ経験をもとに、日本兵たちの行軍の様子や、中国の風物を巧みに描き出していきました。
その後、終戦にいたるまでのあいだに、陸軍省や海軍省の外郭団体が主催する美術展覧会へ、九軍神や山本五十六に代表される軍人像、防人や吉田松陰のような歴史上の人物、《草薙剣》といった日本の神話、新たに従軍したラバウルの風俗などを題材とした、ナショナリスティックな作品を発表していきます。それらの作品が、当時、いかに注目を集めていたかは、数少ない「作戦記録彫塑」を海軍省から依嘱されたこと、終戦後に現れた美術団体によって戦争責任を問うべき美術家のリストが作成されたとき、藤田嗣治や横山大観らと並んで、彫刻家としてはただ一人、中村直人の名前が挙げられたことからも明らかです。“彫刻の時代”の全盛期を戦中期にむかえてしまったことが、直人の彫刻の位置づけをこれまで難しいものにしてきた一因であったといえるでしょう。1952(昭和27)年、直人は友人の藤田嗣治を頼って、一家でフランスへ渡り、画家としての道を歩みはじめました。
この展覧会は、中村直人の戦前・戦中期の彫刻を可能な限り一堂に会する、初めての、彫刻を中心とした回顧展です。近年、戦中期の美術を再検証する展覧会や出版が相次ぎ、また、日本の近代彫刻史の研究も進んでいる状況のなかで、中村直人は、これまで充分に検証される機会のなかった存在でした。今回の展覧会では、戦後初めて一般公開されることになる、従軍取材をもとにした《暁の進軍》などの戦前の作品や資料を中心に、渡仏後の絵画・彫刻作品や、直人に多大な影響を与えた師・吉田白嶺、農民美術運動の先駆者として知られる実兄・實の作品などもあわせて出品されます。これらの作品によって、彫刻家から画家への転身の背景を探り、中村直人が日本の近代美術に果たしてきた役割を再考することを目指します。
会場 | 小杉放菴記念日光美術館 展示室 |
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主催 | 〈中村直人 彫刻の時代〉展実行委員会/財団法人 小杉放菴記念日光美術館/日光市/日光市教育委員会 |
料金 | 一般700(630)円、大学生500(450)円、高校生以下は無料 ※( )内は20名以上の団体割引料金 |
関連イベント | ●担当学芸員によるギャラリー・トーク 日時:2012年7月29日[日]、8月12日[日]、9月2日[日] 午後1時30分より ●親子で楽しむワークショップ 「切って、貼って、絵を描こう!」 講師:汐崎ussey弘 氏(形と音の作家) 日時:2012年8月5日[日]午前10時~12時 会場:小杉放菴記念日光美術館 エントランスホール |
広報 |
「中村直人 彫刻の時代」チラシ.pdf 「中村直人 彫刻の時代」展出品目録.pdf |
その他 | 共催:佐久市立近代美術館/ナオンド委員会 |
お問い合わせ | 小杉放菴記念日光美術館
〒321-1431 日光市山内2388-3 telephone:0288-50-1200 |